わが身にしかと納得せずには、人の心は動かせぬ。自分の魂からほとばしり出て力強く切々と語るのでなければ、聴く者の心は得られぬわけだ(ゲーテ「ファウスト」より)

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マーケティングという世界がある。書店に行けば、マーケティングに関する書籍が百花繚乱と並んでいる。だが、いくらマーケティングを勉強し、高等なマーケティング戦略を構築しても駄目だ。マーケティング戦略を実行するための営業力(営業トークなど)が必要になる。しかし、どんなに言葉巧みな営業トークを身に付けたとしても十分とは言えない。不足しているものがある。

マーケティングや営業トークよりも大切なもの。それは、貴方自身が、貴方が扱っている商品を愛しているかどうかということだ。自分が販売しなくてはならない商品について、当の貴方自身が納得し、更には心底愛する。そのような精神状態であれば、貴方が放つ語りは、まさに「魂からほとばしり出る」ものとなり、相手の心に突き刺さる。営業トークの多少の稚拙さなどは吹き飛んでしまうだろう。

稲盛和夫氏が著作の中で「どんなに嫌な仕事でも、続け続けていくうちに好きになっていく」というようなことを述べられていたと記憶している。そのような境地に達するまで、自分が扱う商品と対峙しなくてはならない。逆に、対峙し続けていれば、必ずその商品を愛する状態に至ると信じる。

私事だが、31歳のころ、転職活動をした。たまたま大手システム会社の経営企画部門から内定をもらったが、どうも腑に落ちず、「私は実はシステム開発というものが好きになれません」と言ったところ、先方の担当者が「私も好きではありません」とおっしゃった。翌日、その内定は辞退した。いまでも正しい選択であったと思う。